Google和解案から作家174名が離脱の件

著作権管理団体の日本ビジュアル著作権協会に属する作家174名(谷川俊太郎、ねじめ正一など)がGoogle Book Searchに関する和解案から離脱することを発表したそうです(ソース)。特定の書籍をオプトアウトする(グーグルのデータベースから削除してもらう)のではなく、そもそも和解に参加しないということです。

もちろん、和解するかしないかは各著作者の自由なので特に文句を言う筋合いではありません。また、協会が主張する

和解案の公表から回答期限まで2カ月強と短すぎるうえ、日本の著作権者の意見はまったく入っていない。

という批判も正当かと思います。

そもそも、この日本ビジュアル著作権協会(JVCA)という団体は相当に権利者寄りの姿勢を取っていることで知られており、学校の教材や試験問題での著作物の使用に差し止め訴訟を提起したり、高額の使用料を請求したりしています。あの三田誠広氏ですらJVCAの使用料が高すぎると批判しているようです(ソース)。ということで、この動きは十分に予測できるものです。

ところで、周知の通り、Google Book SearchはGoogleが勝手にやっているわけではなく、米国の作家団体(Authors Guild)、出版社団体(Association of American Publishers)、そして、世界各国の図書館が合意の元に共同で行なっているプロジェクトです。つまり、米国内では当事者納得済の話です(もちろん、反対する人がいないわけではないでしょうが)。とは言え、特にベルヌ条約経由で寝耳に水で和解の当事者になってしまった海外の著作権者から批判の声が上がるのは当然でしょう。

Wikipediaソースですが、Google Book Searchに対する批判者の中にフランスの歴史家/政治家であるJean-Noël Jeanneney氏という人がいるそうです。彼の批判は、Googleのスキャン対象がほとんど英語の文献であり、学問の世界で一般的なフランス語、ロシア語、ドイツ語の割合が異常に小さいため長期的に世界におけるこれらの言語の重要性が下がってしまう可能性がある、これは一種の「英語帝国主義」だということのようです。要は、英語以外の言語の書籍もどんどんオンラインで利用可能にしてくれ(もちろん、権利者に正当な対価がわたる前提で)と主張しているようです。

まあ人により考え方は様々ということですね。

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