AppleのSlide-to-Unlockの権利は日本ではどうなっているのか

CNETに「アップル、「スライド式ロック解除」と初代「iPhone」の意匠権を取得」という記事が出ていました(”design patent”をちゃんと「意匠権」と訳してくれているのは喜ばしいですね)。初代iPhoneの意匠の話はおいておいて「スライド式ロック解除」の方の話をします。

iPhoneやiPadのロック画面をスライダーを横にスライドする操作で解除するのは、シンプルなわりに誤操作がなくてナイスなUIだと思います。Appleはこのアイデアを米国ではUS8046721号としてし、欧州ではEP1964022号として特許化しており、それぞれサムスン、モトローラに対して権利行使しています(ただし、再審査で無効にされる可能性あり)。前述のニュースはこれが特許に加えて、意匠としても保護されたという話です。

ひとつのものを、技術的アイデアとしては特許権で、工業デザインとしては意匠権で保護することも可能と知財の教科書に書いてあったりしますが、まさにこれがその例です。ただし、意匠権はあくまでも工業デザインの保護なので、たとえば、ボタンの外観を変えれば容易に回避されてしまいます。どちらかというとデッドコピーを防げることに意匠権の意義があります(これに対して特許権は背後にあるアイデアが同じであれば表面上の実装を変えた場合でも権利行使できます)。

なお、AndroidではiPhone/iPadとはちょっと違う感じのスライド操作でアンロックを行なうようになっていることが多いと思いますが、これはこのAppleの権利回避のためと思われます。

では、日本ではこの権利はどうなっているかというと、実は意匠権の方が先に成立していました(1356981号)(EnterpriseZineで書いてる知財の連載記事でも書いてます)。日本では意匠権は物理的物品に付随するのが前提なのでプログラム画面は保護できないのですが、携帯電話等の物理的物品に付随する液晶画面のデザインは保護できます。

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これに対応する日本国内の特許はというと、米国の出願とほぼ同じ内容の出願2008-547675が拒絶査定確定しており、それを限定した分割出願の2012-091352が審査中です。日本では、少なくとも米国と同じようにはSlide-to-Unlockの特許は成立しないと思われます。(訂正:拒絶査定確定は勘違いでその後拒絶査定不服審判により、特許5457679号として登録されていました。どうもすみません。)

同じ発明に対して同じ背景情報で新規性・進歩性を判断しているはずなのに、米国で特許化できているのに日本ではできない(あるいはその逆)が往々にしてあるのがやっかいなところです。

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