セールスフォースドットコムの新戦略は「インテンション・エコノミー」と同じ方向性

最近はブログ記事が知財関係ばっかりになっています(その方がPV稼げるので・・・)が、もちろんITアナリスト/コンサルタントとしての仕事もやっています。先日(5/28)は、Salesforce.com社のイベント「Customer Company Tour東京」に取材に行きました。プレスと招待客向けのキャパ約500名の小ぶりな会場(別途、大型中継会場あり)で、マーク・ベニオフCEOのエネルギッシュな講演を聴くことができました。

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「カスタマーカンパニー」は、現在のSalesforce.com社のキー・メッセージです。日本語に訳せば「お客様本位の企業」とでもなるでしょうか?普通は、Customer-Oriented CompanyだとかCustomer-Centric Companyというようなネーミングをすると思うのですが、こういう言い方自体が「顧客」をシステムの構成要素として扱うようなニュアンスを醸し出すので敢えて避けたのではないかと思います。

「企業は”カスタマー革命”を起こして顧客の声を今まで以上に重視できるようにならなければならない」とベニオフCEOは主張します。「(ビッグデータ等を通じて)顧客の行動を分析・予測する」のも大事ですが「(ソーシャル・メディア等を通じて)お客様の生の声を聞く」ことはもっと大事です。後者が「インテンション・エコノミー」(顧客意思経済)の概念です。

そして、「”カスタマー革命”のためには、ソーシャル、モバイル、ビッグデータ、コミュニティ、アプリ、クラウド、トラストの領域でも革命を起こす必要がある」と主張します。これらの中で特に興味深いのは最後の「トラスト」です。顧客の真の声を聴くためには、企業は、顧客に信頼してもらい、ファンになってもらわなければいけないということです。これは、拙訳『インテンション・エコノミー』でドク・サールズが繰り返し主張していたテーゼに一致します。

ベニオフCEOの講演の中では「インテンション・エコノミー」あるいはVRM(Vendor Relationship Management)という言葉は、一度も出なかった(”customer intention”という言い方は何回か出てきました)のですが、その方向性は『インテンション・エコノミー』に驚くほど近いものがありました。

戦略立案している人が本を読んでいるのかもしれないですし、仮に読んでないとしても、今のネットの世界である程度アンテナを張っていれば、「インテンション・エコノミー」は必然的に考えつく方向性ではないかと思います。

前から書くと言っていて延び延びになってしまいましたが、今後何回かにわけて「インテンション・エコノミー」について本ブログで解説していこうと思います。

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