Appleの歩きスマホ対策発明について

#エイプリルフールネタではありません

財経新聞というサイトに「Apple、携帯端末の背景画面を「透けさせる」技術の特許を取得」という記事が載ってます(元ネタはSlashdot.jp、そしてさらにその元ネタはMashable、そしてさらにそのまた元ネタはApple Insider)。

Appleが、携帯端末でメッセージ入力時に「iPhoneの向こう側の景色」を背景画面として表示させる「transparent texting」なる特許を取得したそうだ。

と書いてありますが、非知財系サイトにありがちな間違いで「特許を取得」ではなく、「特許出願が公開」です(関連過去記事)。

大本のApple Insiderでは正しく「出願が公開された」と書いてあるのに、それを引用したMashableでは”Apple secured a patent”と誤報、それをSlashdotが引用して、それを財経新聞が引用という伝言ゲームでだんだん情報が劣化していっている感じです。

それはともかくとして、ちょっと興味深い発明なので中味を見てみることにしましょう。公開番号はUS20140085334です。なお、まだ審査中なので権利化されるかどうかはわかりませんし、別の権利範囲で登録される可能性もあります。

この発明のポイントは、スマホの(リア側の)カメラで映した映像をテキストメッセージ入力の画面の背景として(あたかもスマホが透明であるかのように)表示することで、入力をしている人に周りの状況をわかりやすくしてあげることにあります。これによって歩きスマホ中につまづいたり他人にぶつかったりすることを防ぐことができます。クレームの内容もほぼそれだけです。

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上図ではiPhoneのメッセージアプリの背景として向こう側にある木が表示されています。これによって歩きスマホしてて木にぶつかることを防げるというわけです。

せっかくなので、画像認識やソナーで危険な障害物を検知してアラートを出すとか、横方向も含む全方位の画像を表示するくらいのことを書いておいても良さそうなものですが、そういうことは書いておらず「一発芸」的な特許出願となっています。

この発明が特許化できるかどうかはわかりませんが、既にアプリとしては存在するようです。歩きスマホによる危険性が完全になくなるわけではないですし、逆にこういう機能があることで歩きスマホを正当化してしまうという問題があるのでどんなもんかなとは思います。

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