著作権保護期間の延長と「ガーシュインショック」について

TPP交渉の一環として著作権の保護期間が著作者死後70年に延長される可能性が高そうです(参照記事)。最終的にどのように確定するかはわからないのですが、既に著作権切れになっている著作物に適用されるのか、日本の特殊事情である戦時加算がどうなるのか気になります(追記:日本では今まで著作権切れになった著作物が保護期間の延長により著作権を回復したことはないですが、世界的にはそうでないケースもありますし(たとえば、欧州連合の指令等)、今回は国際的な交渉事なのでどのような条件を飲まされるかわかりません)。

仮に既にパブリックドメイン(PD)になっている著作物にも遡及適用されることになると、青空文庫で公開されているPDの文学作品が公開不可になってしまうのが問題と考える人も多いと思います。

ここでは、自分の関心分野であるジャズ関係の楽曲について考えてみます。

ジャズ系で今でもよく演奏されるスタンダードナンバーの中で、戦時加算を加味しても著作権切れしているものには、ガーシュイン(1937年没)、ジェロームカーン(1945年没)などの作品があります。ガーシュインの曲にはBut Not For Me、Embraceable You、Fascinating Rhythm、A Foggy Day、The Man I Love、Nice Work If You Can Get It、Our Love Is Here To Stay、Somebody Loves Me、Someone to Watch Over Me、Summer Time、They Can’t Take It Away From Me、’S Wonderful、ジェロームカーンの曲には、All The Things You Are、Dearly Beloved、Fine Romance、I’m Old Fashioned、Smoke Gets In Your Eyes、Song Is You、The Way You Look Tonight、Yesterdaysなどがあり、ジャズスタンダードの相当部分が既にPDになっています(これ以外に現代でもよく演奏されるスタンダードでPDになっているものはSomeday My Prince Will Come(いつか王子様が)(作曲者フランクチャーチルは1942年没)などがあります)。

仮に著作権保護期間が70年に延長されて、いったんPD化した著作物にも遡及適用され、戦時加算も撤廃されないとすると、戦前に亡くなった米国作家の作品の著作権は(戦時加算の3794日がフルに効いてくることから)死後80年強続きますので、これらの作品もPDではなくなってしまいます。

ライブハウスで演奏したり、YouTubeにアップしたりする分には、JASRACの権利処理が背後で行なわれてますので特に問題ないんですが、たとえば、自費出版でCDを作って売る場合、JASRACに信託しない自分のオリジナル曲と上記のようなPD曲だけであれば、JASRACの権利処理がいらないので楽だったんですが、それができなくなってしまいます(仮にこういうCDを出していて著作権保護期間延長によりPD曲が後付け的にPDでなくなるとその段階でJASRACの許諾を受けなければならなくなってしまうんでしょうか?)。

まあ、せめて交渉により戦時加算は撤廃してもらいたいと思います(もちろん、既にPD化した著作物には遡及適用しないようになれば尚可ですが)。

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著作権保護期間の延長と「ガーシュインショック」について への1件のフィードバック

  1. お代官 のコメント:

    ガーシュインは、お兄さんのアイラが長生きだったので、ボーカルが入るとちょっとなのですが、コール・ポーターが死後50年なのです。でも、ミッキーマウス条項でダメらしいです。
    コール・ポーターは作詞作曲だからボーカリストがワクワクだったそうなのですが。

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