手数料を支払わないで商標登録出願をするとどうなるのか

特許でも商標でも特許庁に出願を行なうと所定の手数料がかかります。弁理士の料金とは別の法律で定まった手数料(通称、印紙代)なので、自分で出願した場合でも支払う必要があります。商標の場合は、最低料金(1区分)で12,000円になります。

この所定の手数料を支払わないで商標登録出願をする(典型的には特許印紙を貼らないで願書を提出する)とどうなるのでしょうか?

この場合でも即時に却下されることはなく、出願としてはいったん受理されます。その後しばらくしてから、方式に違反しているということで、所定の料金を支払えという補正指令が出ます。応答期間(たぶん30日だったと思います)内に、この補正指令に対応して所定の手数料を支払えば問題なく出願が受理されて、実体審査に入ります。応答期間内に支払わないと、その段階で初めて出願が却下になります。

つまり、手数料をまったく支払わずに商標登録出願をしても、実際に却下になるまでの一定期間(おそらく2か月程度)は、出願が特許庁に係属した状態になります。また、出願公開も行なわれてしまいます。

商標は特許と違って新規性という概念がないので、出願公開されただけでは後願を排除することはできません。

しかし、仮に出願が公開されている時点で、たまたまそれと類似の商標登録を行なおうとする別の人がいると、商標の調査段階で類似先願ありと判断される可能性があります。ここで、その別の人が先願の出願人に一部譲渡やライセンスのためにコンタクトしたり、登録阻止のために特許庁に情報提供したりすると、それにより「この商標が登録されると困る人がいるのだな」ということが先願の出願人に明らかになってしまいます。ここで先願の出願人は初めて所定の手数料を支払って商標を登録し、その後で、売却やライセンス交渉を行なうことができてしまいます。

こうなる確率はかなり低いと思いますが、手数料支払わずに商標登録出願をして補正指令も無視する分には金はかかりませんので、ダメ元で大量出願するというやり方が可能になってしまいます。違法とまでは言えませんが、商標法の趣旨にも反しますし、特許庁が対価なしに余計な仕事(実体審査はしなくても補正指令の送付や出願公開の手続きが必要です)をすることになってしまいますので、何とか対策を取ってもらいたいものです。

かと言って手数料の間違いは補正の機会を与えずに即時却下という運用にしてしまうと、リアルで間違えた時にちょっと困るので難しいところです。方式審査が終わるまでは出願公開しないという運用にすればよいのかもしれません。(追記:商標法12条の2 「特許庁長官は、商標登録出願があつたときは、出願公開をしなければならない。」との関係で運用だけでは対応できないかもしれません。)

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