米国特許の再審査状況の調査方法について

アップルのピンチズーム特許(78454915)が米国特許庁(USPTO)の再審査において拒絶されたとのニュースがありました。その中身については別の機会に書きますが、これを例にとって、USPTOの再審査書類の検索方法について紹介します。

USPTOの審査情報をリアルタイムで検索するにはPublic PAIRというシステムを使います。基本的にすべての審査間連書類がリアルタイムで蓄積されている大変有用なデータベースです。

CAPTCHAを突破した後で検索する番号を入力します。今回は特許番号で検索するのでPatent Numberを選択し、特許番号(7844915)を入力します。

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これで、この特許の出願、審査、査定に至るまでの全情報(俗に包袋(File Wrapper)と呼ばれます)が閲覧できるようになります。包袋を見るためにはImage File Wrapperのタブをクリックします。

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ここから各書類の閲覧、および、PDFでのダウンロードが可能です。ちょっとわかりにくいのですが、DLする時は、DLしたい資料のPDFのコラムにチェックして、コラムヘッダ−になっているPDFのアイコンをクリックすると、まとめてダウンロードできます。ただし、PDFはイメージ形式なので文字列検索ができないのがつらいところです。

さて、審査情報はこれでよいのですが、今回は再審査の情報を調べなければなりません。これまたきわめてわかりにくいのですが、そのためには、Continuity Dataのタブをクリックします。

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ここは、本来は分割出願や継続出願を表示するタブなのですが、再審査の情報もここに一緒に表示されてます(たぶん、後付けで機能追加したのでわかりにくくなっているのだと思います)。ここで、先頭の番号が90あるいは95のものが再審査の情報(コントロール番号)を表わします(なお、90が査定系(第三者の請求)、95が当事者系です)。90/012,332という番号があるので、それをクリックします(なお、コントロール番号が最初から分かっている時は最初の番号入力画面で入力すれば再審査情報に直接行けます)。

再審査の情報画面に飛んでから、そこでもまたImage File Wrapperのタブをクリックすると先ほどの審査の包袋情報と同様に、再審査の包袋情報が見られます(PDFをDLできることなども同様です)。2013/7/26付でFinal Rejectionが出ていることがわかります。

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なお、この後、アップルがこの再審査結果の取消しを求めて裁判所に提訴する可能性があります(追記:その前にUSPTO内でAppeal(不服審判)のプロセスが入ります、どうもすみません)が、それはもうUSPTOの世界ではなく、裁判所の世界なので、PACERという別のシステムで検索する必要があります。PAIRとは違い、PACERは書類DLが有料で、ユーザー登録も必要なのでちょっとめんどくさいです。

審査情報の公開に関して、日本はどうかというと、特許電子図書館(IPDL)で審査経過情報がほぼリアルタイムで見られますが、米国でいう再審査に相当する無効審判の途中経過は特許庁まで閲覧しにいかないとわかりません(審判の結果(審決)が出ると(ある程度の期間の後)オンラインで見られるようになります)。また、裁判情報については前にも書きましたがが、裁判所が公開してもよいと判断した一部の判決のみが裁判所のサイトで公開されますが、途中経過あるいは裁判所がウェブで公開しなかった判決については裁判所まで行って閲覧するしかありません。また、そもそも、裁判が行なわれているという事実をウェブで調べる手立てはありません。

ということで、この領域では日米の情報公開にはかなり差があります。

最近オープンデータの話題が聞かれるようになりましたが、国としてオープンデータを推進するのであれば、このあたりまで含めて推進していただきたいと思います。

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