TOKYO 2020を勝手に使ってはいけない理由とは?

昨日の記事「JOCは許可なく「おめでとう東京」を使うのはアウトと言っているようですが、根拠はあるのでしょうか?」は結構な反響を呼びました。そこで引用した朝日新聞の記事については、記者がJOCの「担当者」の発言を曲界したのではないかという見方もありましたが、同様のトピックでまた別の微妙な記事「東京五輪 商用での便乗はNG」を見つけました。

記事中では以下のように書かれています。

「オリンピック」、「五輪」、「がんばれ!ニッポン!」という表記などは、日本オリンピック委員会(以下、JOC)の許諾が必要で、無断での使用は禁止されています。それだけではなく、前出の「TOKYO 2020」についても、商用での使用は禁止となります。

これは、JOC/IOCなどの登録商標は無断で使ってはいけないという話で当たり前です(私の昨日の記事でも登録商標と同一・類似の商標の使用が禁じられる点については問題にしていません)。なお、「五輪」は登録されていないですが、オリンピックと概念類似なのでアウトとされてもしょうがないと思います。

ここで、「TOKYO 2020」ですが、以下のデザインで登録されています(5464947, 5509560, 5509561)(固定リンクががが)。出願人は「特定非営利活動法人東京2020オリンピック・パラリンピック招致委員会」ですがその後JOCに譲渡されてます。

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非常に広範囲の指定商品で登録されてますのでこれと類似のデザインを商売で使うと商標権侵害になる可能性が高いです。

さらに、これとは別にデザイン抜きの「TOKYO 2020」の標準文字商標が出願されています。なぜか、昨年1月に出願されて、昨年8月に拒絶理由通知(暫定拒絶)が出てからずっとそのまんまになっています。上申書が出ているのでオリンピック開催地が決定してから判断してくれというお願いをしているのかもしれません(商標の審査経過情報はWebで無料では見られないので不便です)。もしこの商標が登録されると「TOKYO 2020」の文字商標としての使用もアウトになります。

まあ、ここまでは真っ当なのですが、記事中の以下の記述が気になります。

また、これ以外でも商用でオリンピックに便乗するような意図がある、あるいはそう判断される場合の表現は、すべてNGになります。「2020年に『夏のスポーツを応援しよう』と銘打ったキャンペーンなどがあった場合には、JOCがクレームを入れることになります。企画意図がオリンピックをベースしていると判断されるので、そういった企画は配慮いただきたいです」(前出の関係者)。

朝日新聞の記事のように知的財産権を侵害するとみなすとまでは言わず「配慮いただきたい」というお願いレベルの話になってます。まあ、お願いするのは勝手だと思います。ただし、その一方で、

「これまでの五輪はJOCの管轄でしたが、今後、自国開催となり、IOCの管轄になります。ですので、これまで以上に厳しくなります。IOCから法的な手続きをとるよう指示される可能性もあるので、配慮いただきたい」とJOC関係者。

なんてSLAPP的なことをほのめかしたりもしています。

いずれにせよ、法律的に明確にNGな部分はNGとして(商標権関係がそれにあたります)、お願いレベルの部分はお願いとして、ルールを明確にしてフェアにやってこそスポーツの祭典にふさわしいのではないかと思います。

また、7年後の開催ということを考えると、ソーシャル・メディアの影響力は今よりはるかに大きくなることはあれ、小さくなっていることはないでしょう。そうなると、IOC/JOCがあまり無茶を要求して炎上→公式スポンサーの商品をボイコットみたいな事態になってしまうこともあるのではないかと危惧します。

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